三日月の夜に 愛に恋

月語りと好き語りでお月愛

つきこの独り言ー疲れたときは雲の上の散歩をー

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先日は100万円について書いたけれど、ここのところ気がつくとお金の事ばかり考えてる。その理由は、たぶん親のことがあるからかな。お金の話って、親しくても難しい。だけど気になるお金の話。この先、ゆっくりブログも書けなくなりそうだし、今日は思い切って書いてしまおう。




昨年義父が逝去したときのこと。この先自分に何かあったとき、私たちが困らないようにと、義母が銀行口座やカードの暗証番号を教えてくれた。一人息子ではなく、息子の嫁の私に。私は娘じゃないからお金のことはちょっと…と断ったのだけど。義母はそれまで、私に会うたび口癖のように言っていた。




うちのお父さんは小さい会社で働いてたから年金が凄く少ないの。私一人残されたら生きていけなくなるの。その時は、塩を舐めるしかないわ。




そう言われると、私は本当に困ってしまった。そして不安になった。聞こえないふりをしたり、大丈夫だよ〜と流したり、塩だけじゃなくご飯も食べてよ〜などと返していた。




そして、お義父さんが亡くなった。




🌔🌔🌔




皆は親の資産がいくらあるのかを把握してるのかな。友人など私の知る限りでは、親の介護をしていても親の生活を経済的に支援している話は聞いたことがない。それは、親世代にしっかりと蓄えがあるという事だよね。



そりゃそうよね。今の親世代の年金額は、私たちがこの先到底受け取ることが出来ないほどの金額だもの。義父亡後、義母と一緒に諸々の手続きを手伝ったときに私が知ったのは、遺族年金と義母の年金を合わせた支給額は、今後義母ひとりで暮らすに十分な金額だということ。それでも、その金額に納得がいかない義母は、年金事務所窓口の職員にジリジリと詰め寄った。




こんな少しの年金では、私に塩舐めて生きていけって言うの?



職員は困った顔で言った。




この金額を他人には言わない方がいいですよ。いまどきこんなに貰える人はそうはいないですから。




大きく頷いた私は職員に言った。



そうですよね。私達なんて絶対に貰えないですよね!



二人して大きく頷いた。私は、ぶつぶつ言ってなかなか椅子から立ち上がろうとしない義母を宥めすかし、ようやく年金事務所を後にした。




不貞腐れる義母とは裏腹に、私は心底安堵していた。早く夫に知らせたい。長い間、私は心配していた。義母一人になったら私達が義母を経済的に支援する必要があるかもと思っていた。




ところが、どっこい。義母は嘘つきだった。




🌔🌔🌔




お葬式後、遺族は哀しみに浸る間もないほど様々な手続きに追われまくる。良く言えば、その煩雑な手続きがあるからこそ、寂しさが紛れるのかもね。




家の名義を始め、各種支払いの名義変更。故人名義の金融機関口座は全て凍結され、相続には面倒くさい手続きが必要になる。このペーパーレス時代に、高齢者に何枚も何枚も同じ事を書かせるなんて時代遅れも甚だしい。




一通りの手続きが終了し自宅へ帰る荷造りをしていると、義母は全ての通帳を私に見せてきた。見せられた通帳に入っているお金を全て合わせると、今後義母が悠々暮らしていけるに十分な金額があったのだ。高い施設に入所とかは無理かもしれないけど普通に暮らすには十分だった。



つきこちゃん、これ見てごらん。




私は少し得意げな顔をした義母が差し出した一冊の通帳をめくった。そこに印字されていたのは数字は数千万円。定期預金でもなく、普通預金に無造作に入っていた。義母が言うには、自分がパートをしていた頃のお給料にも、自分の年金にも一切手をつけていないと言う。




義母はただ、銀行口座にお金を入れたまま使わず下さなかっただけ。大きく増えもしないけど、何の損もしていない。これぞある意味、堅実な貯金方法かもしれないと、私は笑った。ある友人の義両親は、リーマンショックで数千万失ったと言ってたっけ…。





お義母さん、すごーい!





義両親は、それまで投資らしい事をしていた様子もない。それでも、自分の年金を一円も使わず20年以上貯めていたらこの金額になるのか…。だけど、忘れないようにと、カードに暗証番号書くのはダメだと思うよ。苦笑




そうそう、義母の口癖はもう一つあったよ。




どんなにお金が無くたって、子どもに向かってお金頂戴なんて絶対に言えないからね。





私たちに迷惑をかけたくない一心で、義母はお金を貯めていたんだね。私も見習わなきゃ。




🌔🌔🌔




さてさて。次は私の実家の話。今後いずれ、私と妹弟たちは親のお金問題に直面するだろうね。




この先、両親が二人とも施設入所になった場合、果たして二人の年金だけで支払いが可能なんだろうか。そんなことは無理ぽいよね。あー、カータンとカータンのお姉さんも同じ様な事話してたなぁ。あそこは親子してお金持ちだから、レベルが違うけど。




元気だったカータンのママとパパも今は…。泣
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私は妹に言った。その時は、自分たちの生活を第一に考えて、親が持っているお金でどこまで出来るか考えようよ。たかが知れているだろうけどね。だって父は自分で作った会社が傾いたときに、二度も自宅を抵当に取られ父名義の貯金は根こそぎ持っていかれてるから。





今の私にできること。まだ起きてもいない事を案じて不安にならないこと。そして、パートのシフトに土日を追加した。だって、時給が違うんだもーん。笑 来週帰省した際には、母にお金の事をさりげなく聞いてみよう。





そして、今までで一番笑ったブログをもう一度読む事にした。




それは、元CAの有名主婦ブロガー、カータンのブログ。「雲の上の散歩」は、今から13年くらい前の記事。初めて読んだときに椅子から転げ落ちるほど笑い転げたよ。気持ちが落ちるときは、これを読むの。一年に一度は読んでるかな。CAネタも、アイドルネタも面白いけど、これが一番凄いと思う。





イラストも上手だけど、何と言っても文字の美しさ!!ぜひぜひ見て!読んで!




カータンの声を聞きたい方はこちらを。我が家の油淋鶏はカータンレシピ。カータンって可愛いのに面白い!







そして、カータン。
あなたの言うとおりだったわ。





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親の老いは、ある日突然やってくる

つきこの独り言ー100万円の使い途ー


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子どもの頃、雪が降ると妹と雪だるまを作った。まずは手のひらで、すーっと雪をすくう。すくった雪はぎゅっぎゅって両手で握る。おにぎりを握るみたいに。小さなボールみたいになったら、つぎはその塊を雪の上で転がしていく。コロコロと転がしていくと、雪の塊はどんどん大きくなる。




みるみる雪は大きくなって、ひとりでは転がすことができないくらいの雪の塊になる。雪だるまも、かまくらも、雪まつりの巨大雪像だって、最初は小さな小さな一粒の雪なのに。




❄️❄️❄️




お金は雪だるまみたいだ。最初は僅かな金額でも、長い時間をかけて貯めていけば大きな金額になる。その逆に借金も雪だるまのよう。なかなか貯まらない貯金より、あっという間に大きくなる。雪だるま式に増える借金だなんて怖すぎるけど。




この春、社会人になった次男に話したばかり。毎月少しずつでもいいからお金を貯めることの大切さを。借金の怖さを。冠婚葬祭はケチってはダメなことを。人の為に使ったお金は、いつか必ず自分のところに還ってくることを。私は彼に声をかけた。




まずは100万円貯めること。そこからだよ。




🌕🌕🌕



まずは100万円貯めなさい。100万までは我慢して貯めること。そうしたらお金は貯まりやすくなるよ。




お金なんて全然貯まらないよーと言う私に、そう言ったのは職場の先輩。彼女は一人息子がいるシングルマザーだった。綺麗でカッコいい先輩のその言葉は、なぜか今でも忘れない。100万円は種銭ってやつだ。




そんな風にお金のことを教えてくれた人は初めてだった。100万円貯めるって、簡単なようで実は凄く難しい。少し貯まると旅行に出かけたくなるし、綺麗な洋服も着たいし、美味しいものだって食べたいじゃない。




結婚して子どもが出来てからは、全然貯められなくなった。家のローンに加え、何台も車を乗り換えた。夫の仕事に車は必須だから仕方なかった。子どもが小さい頃は医療費が凄かったし、子どもの成長に伴い必要になるお金の桁は変わっていった。私立の高校、そして大学になると何百人もの諭吉先生とお別れをした。




子ども一人、大学まで公立だったとしても約一千万円かかると言われてる。幼稚園や高校、大学が私立だとこの比ではない。我が家の子ども達が奨学金を貰わずに済んだのは、二人とも自宅から大学へ通うことができたこと。子どもが小さい頃から少しずつお金を準備していたこと。そして夫が健康で一言の愚痴も弱音も吐かずに働いてくれたこと、これに尽きる。それは感謝しかない。

 


医学系の大学へ進学した息子さんがいる友人が言っていた。子ども一人に、家一軒分のお金を使っちゃったと。私は彼女に言った。




いつか、それ以上還ってくるよ。楽しみだね。




勿論、親が子どもに使ったお金を返してくれなんて考える訳がない。だけど、大きなお金を使って立派な人間を社会へと送り出した彼女のところには、いつかきっとお金なんかよりもずっと大きなモノが還って来るはず。




一生のうちで、「貯めどき」って言うのが何度かあるんだよ。独身の今、遊びたい今だけど、ほんの少しでもいいから、毎月少しでもいいから貯めてごらんよ。




ママたちにはもう残り少なくなった「時間」と言う強みが君にはあるんだから。長い時間をかけていけば、少しのお金だっていつかは大きくなる。たぶん、雪だるまみたいに。




⛄️⛄️⛄️




ろくにお金も貯めずに結婚した私たち。結婚式なんて見せ物だし、お金も無いし、あまりやりたくなんかなかった。でも、当時はそうはいかなかったんだよ。




両家の親の希望で結婚式はそこそこ大きなモノとなり、その代わりに親が費用を出してくれることになった。今、親となった私たちが自分の子どもたちに同じ事が出来るかと聞かれたら答えはNO!!




その時にかかった費用は、たぶん数百万円。私の衣裳代や諸々で新婦側の負担が若干多かったものの、残りは両家で折半して支払うことになった。先日、夫に聞いてみた。その時、自分はいくら負担したのか?と。

 


夫はただ笑ってた。

 


たぶん、一円も払ってないはずだ。ティファニーの婚約指輪と結納金で100万は超えている。それ以外は夫が払えるわけがない。だって夫は結婚した当時、車のローンも一緒に持っていたのだから。




🌕🌕🌕




それから長い何月を経て、私たちは親世代になり、子どもは自立し、親はさらに年老いた。色んな事がかわってしまった。フェーズが変わる、とはこう言う事だろう。お金の使い方も、変えていかなきゃならない時期にきたようだ。




今週のお題「100万円あったら」




少し前なら、家族旅行と即答した。本当なら次男が社会人になる前に、最後かもしれない家族旅行がしたかった。できれば海外に。近場で三人なら100万で足りたかな。行き先によっては全然足りないか。




でも、このコロナ禍の今。海外旅行なんていつ行けるんだろう。何より親の変化に伴い私たちの生活も変わりつつある。100万円あったら、それはプールしておいて帰省のための飛行機代に使いたい。




私は、親にしてもらうばっかりで、まだ何も返せていないんだよ。




思いがけずアルツハイマーとなってしまった母は、残念ながら敏感体質により薬が使えない。あとは転がるように症状がすすんでいくと覚悟してる。悪いこととは重なるもので転倒もしてないのに圧迫骨折をした。もうね、日替わりで色んな事が様変わりしてるよ。




母がまだ元気な今、少しでも会っておきたい。母のために?それは違うんだな。たぶん、自分のため。あくまでも自分が後悔しないために。自己中だけど、これが本音。




幸いなことに、今の仕事は融通がきく。月の半分働いて、半分を実家で過ごす事が出来る。家事炊事の全てを何もかも私がやってるところに、半月私が不在な方が、家族は私の有り難みを感じてくれるかもしれないし。




親の立場になってわかったのは、親は子どもには絶対に迷惑をかけたくないと思ってるということ。だから自分や家族を犠牲にすることはしない。出来る範囲でのことしかやらない。だけど、出来ることは、とことんやってみたい。だって、いなくなってからでは遅すぎるから。




ある日突然と100万円は現れない。優しくしてあげると「はい、100万円!」とお金をくれる、お金持ち社員望月くんがいれば話は別だけどさ。





だけど、100万円はコツコツ積み重ねれば貯められる金額。お金は夢を叶える道具と、あの有名人も言っている。お金で幸せは買えないけれど、お金で安心出来ることもある。覚えてる方いるでしょうか。私が100万円を探偵につかったことを。私はあの100万円のお陰で、不安を軽減することが出来たのです。







だから、君の夢の為にまずは100万円。
それと、これだけは覚えておいてよね。
これは、ママも自分に言い聞かせてる。





いつまでもあると思うな親と金





加えて






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若さと気力と体力も。

月はおぼろ 遥か遠く



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私の目の前に、大きな波が現れた。だけど、私がその波から逃げることはできないみたい。

 


その波は、ある時突然と私の目の前に現れたの。つい先日、ここ数年私を悩ませていた荒波からようやく抜け出せるかもと、喜んだばかりなのに。これでようやく凪波だなと思ったのに。安堵したのも束の間だったなんて。




私はこの波をどうやって乗り越えればいいのかな。そもそも私は波乗りなんて好きじゃないんだよ。て言うか、本音を云うと、わざわざ波乗りなんてしたくないんだよ。私はどっちかって言うと、ビーチで寝転んでる方が好きなんだから。本を読んだり、ぼーっとしたり。波とはじゃれあうぐらいが丁度いいの。




波乗りに詳しい人がいるなら、是非とも教えていただきたい。上手な波乗りの方法を。力まずに楽に波に乗る方法を。





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今はまだうまく波に乗れていない。初めて見る種類の波だし、他にも日々違う波が現れるし。毎夜妹や弟と、あーだこーだと乗り方の情報交換。




今はまだ波に乗るときじゃないとか、もう少しイイ感じの波が来るまで待つ方がイイよ、とか。眠る直前までこんな話をしてるもんだから、その後もなかなか眠りはやって来ず、いつも羊と冒険に出てる状態。




今夜は羊には会いたくない




だけどさ、こうして大きな波が現れる度に思うことがあるよ。どうやら波って言うのは、私の人生の変わり目に現れるみたいって。人生が大きく変わるときは、それなりの大きさの波がやってくるの。




人生の変わり目だから波が現れるのか、波が現れるから人生が変わってしまうのか、そこんとこは私にはよくわからないけど。越えられない波は無い、なんてサーファーの言葉にあるのかな。だって、「波乗りの世界は人生の縮図」って言うじゃない。




私は、村上氏の言葉を思い出すの。




人生の変わり目はだいたいにおいて、向こうからあなたを選びます。あなたが選ぶことはほとんどありません。





そうか。私は波に選ばれたのかな。選ばれたなら仕方ないよね。私は有無を言わさず波に向かうしかないよね。その波が烈しくうねっていても、推し波でも、引き波でも、そこから逃げ出すことはできないんだね。たとえ溺れそうになってもね。






だけどいつかは。



いつかはきっと。





私は波を乗りこなせるようになって、きっと波を乗り越えるよね。やがて波は遥か遠くに消え去るよね。そのとき、私は何を思うのかな…。






これは自分の為の波乗り。
誰かの為なんかじゃ無い。






波乗りジョニー





違う違うよー。

 



月に抱かれて波乗りをするから






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Moonlight Surfer って呼んでください

続・月子の家の話


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3月末に終了したドラマ「俺の家の話」観ていましたか?俳優長瀬智也の最期の作品に相応しく素晴らしいドラマでしたよね。笑いながら泣いて、泣きながらいっぱい笑わせて貰いました。


「長瀬演じるピークを過ぎたプロレスラー・観山寿一が、西田演じる能楽人間国宝である父の介護のために現役を引退し、名家の長男として介護問題や遺産相続バトルに巻き込まれていく様子を描く異色のホームドラマ」(TBSより)




クドカンドラマですし、最期の最後まで予想を裏切る展開でしたが、ドラマが始まった時から一貫していたのは、親の介護問題の他に結局これが言いたかったのね…ということでした。




ー子どもはいつだって親に褒めてもらいたいー




これから先の私自身に起こりそうな予感しかない、私と妹弟を巻き込む親の介護に関する様々な問題を、ドラマの内容とちょっぴり絡めて書いたのが、先日のリアル「月子の家の話」です。ドラマを観ていた方には、私の母に何が起こったのかを察して貰えたかと思っています。あ、私の親は凡人ですし、遺産相続バトルも起こりませんが。笑



これが、私の家の話だ。





介護問題は、ある日突然に起こります。まさに青天の霹靂です。それは、父が倒れた時に実感しました。残された家族は、その翌日から、いや、その瞬間に突然と介護する側の人になるのです。




直ぐにはその現実を受け入れる事など出来ないのですが、状況は変わります。親がそうなった場合は、嫌でも否応なしに子どもが対応しなくてはなりません。あぁこれが夢だったらなぁ…と思うのですが、そうはいきません。現実とは酷なものです。厳しいーのです。




突然と脳梗塞になった父とは違い、私の母の様に何かしらの決定的な出来事が無くとも、少しずつ変化をきたし、ある日突然ふっと「何かが違う」と感じた日からそれは始まるのです。




🌖🌖🌖




二十一歳で私を産んだ母は、子どもの私から見ても若くて綺麗な人でした。友達にはいつも羨ましがられましたし、参観日や家庭訪問の後には先生達にも母のことを話題にされました。




ーつきこは、お母さんほど綺麗にはなれないよー



多感な中学生の私に、こんな事を言い放った女の先生までいましたっけ。だからでしょうか。いつだって母は、私よりずっと上にいる人でした。私が絶対に超えることの出来ない人、と言う意味です。



初めての子どもだった私がとても育てにくい子だった事や、ずっと男の子が欲しかったと言う事も小さい頃から聞かされていました。それに関しては、妹はもっと傷ついていたかもしれません。



ですが、妹は私よりは甘え上手でした。私は、素直じゃない性格に加え、捻くれたところがありました。私が何か出来ても当然の様に言われるようにので拗ねていたのかもしれません。



足が速くても、テストで良い点数が取れても、成績がトップになっても、何かで賞を貰えても、それは当たり前のこと。寧ろ出来ない部分を鋭く指摘されることが多かったのです。




私の中でのそれは、決して当たり前ではなく、頑張って努力した結果。やりたくない勉強をして、好きでもない部活を頑張っての結果でしたから、当たり前と思われるのは実はとても悲しかったのです。まさか、そんな事を母に言える訳は無かったですが。




そうこうして、記憶の中での私は母に褒められる事なく大きくなりました。誰かに何かを褒められるのがとても苦手になりました。だから、夫と結婚して夫の母に褒められるようになり、随分と驚きました。




つきこちゃん、凄いわ。
つきこちゃん、偉いわ。



とても恥ずかしいし、社交辞令とわかってはいても、嬉しかったです。ある日のこと。次男がまだ生まれたばかりの新居に義母がやってきたときに、私にこう言いました。



つきこちゃん。こんなに家を綺麗にしてて凄く偉いけど、無理して家を綺麗にしなくてもいいのよ。家なんて片付けなくても、子どもは死なないんだから。笑



私は驚きました。母が来る前には、家中の掃除をするのは当たり前だと思っていたからです。だって、私の母はと言うと、家の隅に溜まっている綿埃を指摘し、こんなに汚れて可哀想にと言いながら観葉植物の葉っぱを拭く様な人でしたから。もしかすると埃で子どもが死んでしまう、と本気で考えていたのかもしれません。笑




🌖🌖🌖




ワンオペ育児に疲れ果て、母に愚痴を聞いてもらっていた時のことです。母は私に言いました。



つきちゃんが大変なのは、それはあんたの子どもなんだから仕方がないでしょ。○○ちゃん(妹)のこと考えなさいよ。双子で、しかも障がいがあって、つきちゃんなんかよりずっとずっと大変なんだから。○○ちゃんは、本当によく頑張ってるよ。偉いよね。



本当に母の言う通りです。妹に比べたら私の育児の悩みなんて足元にも及びません。それこそ、屁みたいなものです。ですが、そこは比べて欲しくなかったのです。私は、私なりに頑張っていたのです。私だって、頑張っていたのですから。私は、母に褒めて欲しかったのではありません。ただ、こんな私でも頑張ってることを認めて欲しかっただけなのです。私は電話を切った後、少しだけ泣きました。




🌖🌖🌖




ある時、育児サークルで「コーチング」について学ぶ機会がありました。のっけから、私はその講師の話に拒否反応を覚えました。子どもだって親だって一人一人違うのに、この様な時にはこう対応しましょうなんて決めつけて、なんだか凄く嫌だと思いました。何のワークかは忘れてしまいましたが、最後に一言自分が親に一番言って欲しかった言葉を白い紙に書くと言う、お題が出ました。




自分で書いた言葉を、自分で声に出して読んだ時、私は理解しました。ずっと自分の中にあったもやもやしたものが何かわかったのです。




つきちゃんは、偉いよ。凄く頑張ってるよ。




🌖🌖🌖




若くて綺麗でユーモアがあって、そして誰よりも強かった母は、今では年老いて小さく弱々しいおばあさんになってしまいました。思うように言葉が出なくなり、数年前に出来ていた事が出来なくなっていたり、その事すら忘れてしまっているのです。




その原因がわかった今、私や妹弟子ども達に出来ることは、母が少しでも長く穏やかに今の暮らしを続けられる様に支援することです。




先月、母と少し長く過ごした時に、それまでとは変わってしまった事やこれから起こるかもしれない注意事項を事細かく妹と弟に伝えましたが、彼らの反応は私が考えている事とは全然違いました。




まるで、私が母の粗を探しているような気持ちになりました。職業柄もあるでしょう。些細な症状が異常の早期発見になり、それが症状を進行させないことにも繋がると思う私とは違い、当たり障りのない対応をしていこうと二人に言われました。私だけが、母に意地悪をしてるみたいに思えました。そして、医師や看護師との対応は、長女である私がやるべき事と考えてるようです。




いいんです。長瀬演じる長男寿一も言っていたように、長女である私ができることはやりますよ。だって、それは、そう言うもんだから、です。




だけどね、変わりつつある母を、心の底から優しく見守ることは出来ない私もいるのです。私がした質問に、なかなか答えられない母に苛立ちを覚えてしまうのです。そんな事も忘れてしまったの?と、呆れてしまう私がいるのです。絶対に超えられなかった母が、なぜこんな風になってしまったの?と、こんなに歳を取ってしまったの?と、どうしてなの?と腹立たしく思うのです。




遠い昔に母が私に言いました。そんな事もわからないの?そんな簡単な問題を間違ったの?と。いろんな事が出来なくなってる母を前に、思わず私の口からそんな言葉が出そうになるのです。




母はきっと、私が知らないところで、私の事を誰かに褒めていたのかもしれません。心の中で褒めてくれていたかもしれません。私だけが知らなかっただけかもしれません。




これから先、母にどんな支援が必要になるかは今はまだわかりませんが、私は自分に出来ることは何だってやろうと思っています。それは本心です。




だって、私が今ここにいられるのは、母が私を産んでくれたから。だけど、こう思わずにもいられないのです。もしかすると、もっと優しく母を受け入れることが出来たかもしれないし、ここまで辛くは無かったと思うのです。あの日、あの時、貴女にこう言ってもらえてたらと思わずにはいられないのです。







つきちゃんは、偉いよ。凄く頑張ってるよ。






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これも、リアル月子の家の話です。

眠れぬ満月の夜は、冒険に出かけよう。

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以前、満月の夜は眠りの質が落ちる傾向にあるなんていう記事を読んだことがある。




睡眠時間は新月の夜に比べると平均20分短くなる――。




確か、その研究チームの実験によると、部屋から月は見えなかったにもかかわらず、満月の夜は睡眠時間が平均して20分短くなり、眠りに落ちるまでにかかる時間は新月の夜に比べて約5分長くなり、深い眠りに落ちている時間は平均で30%減ったという。





さらに、眠気を司るホルモンのメラトニンの分泌量を調べた結果、満月が近づくにつれ、メラトニンの分泌量が減ることが分かったそうだ。




🌕🌕🌕
     



満月が近づくにつれ、私のメラトニンが減っていたのでしょうか。数日前、私は全然眠れなくなりました。仕事の緊張が解れないところに、遠くにいる母の事を考えるとどんどん目が冴えてきたのです。




眠ろうと思えば思うほど眠くならないのです。ならばと、海外ドラマを観始めたのですが、一向に眠りは訪れず三話ほど観てしまいました。このまま行くと間違いなく朝です。bad morningです。




これは危険だと思って、yoga講師直伝の必ず眠れる脳の呼吸をやってみました。それも全く効果はありませんでした。いっそのこと、眠るのを諦めてずっと起きていようかと思ったけど、それはそれで翌日に悪影響がありそうです。




だから、久しぶりにアレを登場させることにしたのです。私は目を閉じて、久しぶりにアレの姿を思い描きました。





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そうです。私は羊🐏を数えることにしたのです。
羊が一匹、羊が二匹、羊が三匹…。
ちゃんと一匹ずつ数えました。私の脳内には柵を飛び越えた羊たちが柵の向こうに集まっています。




途中、どこまで数えたかわからなくなったり、柵から逃げ出すと困るので、羊を10匹ずつ一つのグループにする事にしました。それには羊飼いが必要だと思ってペーターを登場させました。でも、よくよく考えてみたらペーターは羊ではなく山羊飼いでしたけど。笑




羊が50匹になったところで、突然に大好きなラム肉を思い出しました。羊の姿から、ジンギスカンやラムステーキや、ラムしゃぶの事を連想するなんて、私は残酷な人間ですね。でも、好きなんです。羊ヶ丘展望台で羊を見たあとに、ジンギスカンを食べた事を思い出しました。私は今日までたくさんの羊の命を頂いて生きてきたんだなと、胸が痛みました。羊さん、ごめんなさい。そして、ありがとう。大好きです。





そして、羊が80匹ぐらいになった時、突如この本の中にあった、ある質問を思い出しました。その質問は、私も兼ねてから疑問に思っていたことでした。




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「羊男は人間なの?羊なの?」



私は、村上氏の小説の中で羊男が出てくると、いつもこんな男性を想像していました。それは、30歳を少し過ぎたくらいの男性で、羊の着ぐるみを着ているのです。イベントなどでも無いのに、実際にそんな人にあったら怖いですよね。おそらく通報したくなるかもしれません。でも、そこは小説の中なのでグッと堪えます。





村上氏の答えは以下の通りです。


羊男がいったい何であるのかは、僕自身にもよくわかりません。「半分人間で半分羊」という解釈もあります。「自分が羊であると思っている人間」という解釈もあります。「人間のかたちをとって出てきた羊のスピリット」という解釈もあります。ー略ー僕自身は漠然と「羊という病を背負い込んだ人間」ではあるまいかと考えておりますが、もちろんこれも選択肢のひとつに過ぎません。





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🌕🌕🌕





私は、途中から羊ではなく羊男を数えていました。気味が悪くなりました。途中で村上春樹が羊の着ぐるみを着ている姿も出てきましたが、それは違うわと思い、頭をブンブンと枕に叩きつけました。さらに目が冴えてきました。




ゆっくりゆっくり羊を数えました。いよいよ、羊は100匹になりました。柵の向こうは羊だらけです。これだけ羊がいたら、暖かいセーターやラム革のコートやジャケットが出来るなぁと思いました。レザー好きの私ですが、中でも柔らかなラムレザーが一番好きなんです。




やっぱり私って酷い人間ですね。こんなだから眠ることが出来ないのかもしれません。子どもの頃から、眠りが下手くそだった私は、今までにも何度も羊を数えてきました。でも、100匹以上の羊を数えたことは一度もありません。なぜなら、必ず100匹を数える前に眠ってしまっていたからです。必ず眠れると自分で暗示をかけていたのかもしれません。




その日も、100匹数えたあと、私はもう羊を数えるのをやめました。そして、もう眠るから!と自分に言い聞かせて眠りにつきました。数えようと思えば数百匹ぐらいまでは羊を数えることが出来たかもしれませんが、どうしても100匹以上数える気にはなれませんでした。




次に眠れなくなったときは、この動画を観て眠ろうと決めています。羊は100匹では無く、9千匹です。どんなに眠れなくても、きっと私は9千匹まで数えることは出来ないでしょう。





【鬼龍院】安眠&不安な夜のために朝まで羊を9千匹数える動画10時間




今夜は皆既月食。そして今年一番大きく見えるスーパームーン




今夜眠れなくなったら、それは月のせいかもしれません。その時は出かけましょうよ。






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羊をめぐる冒険に。