三日月の夜に 愛に恋

月語りと好き語りでお月愛

無いものねだりの cry for the moon

 

 

 

 

どうしても必要な物があり買い物に出かけることにした。運動不足だし何となく歩きたくて少し遠くのお店まで行くことにした。

 

 


私は歩きながら色んな事を考える。道行く人もそうなんだろうか。みんな一体何を考えて歩いてるのかな。
今日は、丁度出掛けに義母から電話があり、義父の容態についての長話をしたばかり。だからなのか自然と親の事を考えながら歩いていた。義父は優しい人だ。一人息子の嫁である私を娘の様に可愛がってくれている。早く世の中が落ち着きを取り戻して顔を見に行きたいな。

 

 

 

次に私の脳裏に浮かんできたのは、暫く会う事ができていない父の事だ。要介護状態となり施設に入所中の父の所には、近くの母でさえ今は面会が出来ない状態だ。一体いつになったら会いに行けるかな・・。そんな事を考えながら歩いていたら、自分が子どもだった頃の父の事を思い出した。

 

 

 

遊んで貰った記憶が余りないこととか、そんなに仲が良くなかったこととか。そんな事を次々と思い出した。年に数える位しか一緒に出かける事はなかったから、海水浴や水族館なんかへ出かけた事は逆に印象強く残っているほどだ。

 

 

 

父は元々言葉足らずの人だったし、仕事も忙しく飲み会や出張も多く、休みと言えば家でゴロゴロしてテレビを観てるか、ゴルフで不在の人だった。
一緒に出かけることも少なかったし、母の様に色んな話を出来る関係でもなかったから、だんだん父が居ても居なくても、私も妹も大して気にもしなくなっていった。

 

 

 

ある日の朝、妹がなかなかトイレが終わらない父に怒っていた。「もう!お父さん、早くしてよ!学校に遅れちゃう!!」
それに気付いた母が言った。「あら、お父さんは出張でいないけど。」そんな事は何度もあった。

 

 

 

友だちの家に行った時に、やけに愛想が良くて優しいお父さんに会ったりするとなんだか落ち着かない変な気持ちになった。日曜日と言うと、ゴロゴロしてテレビを観ているかゴルフに行く父しか知らなかったから、友だちの家の中に沢山のクラシックレコードと本で埋まってるような書斎があるのを見て驚いた。

 

 


転校してしまう友だちが、「私の写真あげる」と言ってくれた写真が、お父さんと一緒に登山をした時の写真で驚いた。お父さんと二人で登山をするなんてことは自分には想像することが出来なかった。

 

 


あれ?私のお父さんは普通じゃないのかな?
何となくそんな事を思った。と同時に仲良く友だちみたいに遊んでくれる他所のお父さんが少し羨ましかった。
義父はごく普通のお父さんだし、うちの父はやっぱり普通とは少し違ったのかなって思ってた。

 

 


PINE95さんのブログを読むまでは。

 

 

 

 

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なぜなら、私の父は持ってなかったから。

 

 


私の父は、ピストルを持っていなかったし、押入れの奥に上皿てんびんも持っていなかった。身体に綺麗な絵も入っていなかった。

 

 

 

シングルプレイヤーになるほどゴルフが上手く出来る五本の指が揃っていたし、借金取りからの電話の音に私と妹が怯えるようなこともなかった。

 

 


私の父は、ごく普通のお父さんだった。
不自由な身体ながら、まだ生きていて私や私の家族の身を案じてくれる、ごくごく普通のお父さんだ。

 

 

 

 

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少し前に、PINE95さんのブログを知った。どこかで偶然に見つけた息子さんと奥様の終わりのないゲームを巡る争いについての記事を読んだ。ゲームのことで怒ったお母さんにあてて書いた息子さんの手紙がなんだか可愛くて可笑しくて、息子が小さかった頃の事を思い出した。どうやらお料理好きなお父さんみたい。

 

 


お年寄りが好きで、高齢者と関わるお仕事をされてるのか。優しい方なんだなと、ブログを読んでいると、今年の令和2年4月6日 午前8時という偶数並びの日に亡くなったと言うご自身のお父様について書いてある記事を見つけた。それはシリーズになって書かれてあった。私はシリーズの最初から読むことにした。

 

 


そこには、私の父親とも違う、私の友だちのお父さんとも違う、私が知っているお父さんと呼ばれる人たちとはかなり違うお父さんの事が書かれてあった。

 

 

 

まだ子どもだったPINE95さんの様子がはっきりと映像となって私に見えてきた。テレビの中でしか見た事のない光景に思えたけど、ありありと見える様だった。それくらい、文章が上手で何か小説を読んでいるように思えた。ぜひ読んで欲しいです。

(こちらに紹介させていただくことは、承諾を得ています)

 

 

 

『だんだんな気持ちで淡々と暮らす』

 


このブログタイトルの様に、お父様の事を淡々と書かれている文章からは、お父様への怒りなどは全く感じられず、そして悲壮感などもなくて、寧ろお父様への深い愛情を私は感じました。書くことと話すことが好きで、ことばが好きだと仰るPINE95さん。ご本人も仰っている通り、お父様を思い出して語ることは供養になるんじゃないかなと、私も思いました。

 

 


そして、ある面ではお父様は一般的なお父さん達とは少し違っていたのかもしれないけれど、違う角度から見たお父様は、凄くカッコよかったのではないでしょうか。プチ整形を試みるほど美意識が高くて、ムスタングを乗り回していたお父さんなんて周りにはいなかったですもの。

 

 

 

月曜の朝、クリーニング屋から戻った糊のきいたワイシャツに顔に似合わないお洒落なネクタイを締め、スーツを着て出社する父の姿は、日曜にだらだらしていた父とは別人に見えたときの私のように。

 

 

 

ね、その時のお父さん、なんだか少しカッコよかったですよね。

 

 

 

 

ここに謹んでお悔やみ申し上げますとともに

心からご冥福をお祈りいたします

 

 

 

 

 

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子どもだった頃の私は、友だちのお父さんにはあって、自分の父親にはないところを心のどこかで羨んでいたのかもしれない。

 

 

 

それは無いものねだりなのに。

普通って実は凄く幸せなことなのに。

 

 

 

 

普通の生活が如何に幸せかということを身をもって感じる今日この頃、PINE95(id:pinewood13)さんとの出会いで改めて実感したのでした。でも、何か失礼な事を書いていたらごめんなさい。

 

 


そうそう、先日のブログに書いた挙式直前に神父さまに別室に呼び出されたときのこと。
その時、神父さまに言われた事を思い出したのです。てくてくと歩きながら突如思い出したんです。

 

 

 

これから挙式を挙げる私達に、神父さまはこう言いました。

 

 


「どんな家庭にしたいですか?」

 

 


その時、夫の返事を聞いた私は、それはあんまりでしょという返答に呆れてしまい、これから挙式だと言うのにちょっと気が抜けちゃったのだけど、それってなかなか良いことを言ったんじゃないかなと今は思うのです。

 

 

 

だってそれは、ちょっと普通じゃない私みたいな人と結婚しようとする人にしか言えない言葉だったから。

 

 


神父さまの質問のあと、何やら考えていた夫はこう答えたのです。

 

 

 

 

 

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普通の家庭です。