三日月の夜に 愛に恋

月語りと好き語りでお月愛

流浪の月〜それは当事者にしかわからない~後編

 

また、月が満ちましたね。

 

 

 

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よねこさんとtorioさんにご指摘を受けたとおり、私はリアルデス妻かもしれません!だって、過去にもこんな事を書いていたのですから。

 

 

 

 


いつだってギリギリの私。年齢も、何もかも、もはや崖っぷちの私は、ある意味デスパレートな妻なのかもしれません。 笑

 

 

 

以下は、高級住宅街でもない、ウェステリア通りでもない、何の変哲もない街の通りに住んでいた、あるひとりのデスパレートな妻による告白の続きです。

 

 

 

Previously on "Desperate Housewives"……

 

流浪の月〜前編〜

流浪の月〜中編〜

 

 

 

 

もうすぐ引越しというある日、私は買い物に行こうと家を出た。五月晴れだ。空が真っ青だった。空を見上げながら、引越しの日もこんな空だといいのになって思った。

 

 

 

二階のあの家族が外出先から戻ってきたようだ。駐車場で、車から降りてきたところに鉢合わせてしまった。だけど、どうしてだろうね。会いたくない人に限って、会ってしまうのは。あと数分違っていたら、会うことも無かったのに。

 

 

 

どうせこちらから挨拶をしたとしても、嫌そうな顔をされるだけ。だけど、私は嫌いな人にほど丁寧にかつ愛想良く振る舞う女なのだ。ごめんあそばせ。

 

 

 

こんにちは〜。

 

 

 

いつもの様ににっこりと微笑んで、私は足取り軽やかに歩き出した。と、そのとき。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


た 、す 、け 、て 、ぇー!

 

 

 

 

 

車から降りた男の子が走ってきた。どこへ走ってゆくのだろうと思って見ていたら、何とその子は私めがけて走ってくるではないの!

 

 

 

 

 

 

私は、一瞬何が起こったのかわからなかった。

 

 

 

 

た 、す 、け 、て 、ぇー!

 

 

 

 

自分の両親から逃げるように突進してきた男の子は、私に飛びついた。私は少しよろけながらも、何とか倒れることなく男の子を抱きかかえることができた。男の子は私にしがみついて言った。まだ少し赤ちゃん言葉だったけど、確かにこう言った。

 

 

 

 


た、す、け、て、  た、す、け、て、

 

 

 

 


ご夫婦二人が私の方に近づいてくる。私はこの時、二階のご主人が笑っているのを初めて見たような気がした。目は笑ってはいなかったけど。普段無表情の奥様には薄い笑みが浮かんでいた。

 

 

 

 

 

なにー、どうしたのー。笑

なんかぁ、すみませーん。笑

 

 

 

 

 

ご主人は、そうヘラヘラと笑いながら近づいてきたかと思うと、男の子を私から引き離そうとした。でも、男の子は私の体に足をしっかり絡めていてびくとも動かない。小さな両手は私の肩をしっかり掴んで離さない。小さな子にしては凄い力だ。本気を出したときに出る力だ。

 

 

 

私は、男の子をこのまま離すことなくしっかりと抱いたままでいるべきなのか、この男の子をご両親へ渡すべきなのか、どうしたらよいのかわからなかった。

 

 

 

確かにこの子は私に助けを求めている。見知らぬ私に。何度か挨拶を交わしただけの私にだ。この子は何から逃げてきたんだろう。もしや、この子は・・・

 

 

 

そうこうしているうちに、ご主人は私の身体に絡まるように抱きついていた男の子を、無理矢理引き離すことに成功した。なかなか剥がれない瘡蓋を無理に引き剥がすみたいに、最後は力ずくで。

 

 

 


どうもぉ、すみませーん。

おまえ、何してるんだよぉー。

アハハハー。

 

 

 


ご主人は、バツの悪さを隠すためなのか終始ヘラヘラしていた。そして男の子を抱きかかえてさっさと家に帰って行った。何か悪戯でもして怒られてたのだろうか。何だったんだろう。

 

 

 

考えても何もわからない。抱きつかれたという衝撃があまりに大きすぎて、何が何だかわからないという状態。

 

 

 

その後は、もう買い物どころではなくなった。身体にはしがみついて離れなかった男の子の感触がまだ残っていた。私は買い物もそこそこにして、仲良くしている友だちの家に行くことにした。そのまま真っ直ぐ家に帰る気には、どうしてもなれなかったから。

 

 

 

 

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私の話を聞き終わった友だちが言った。

 

 

 

何それ、怖いよ。でも、通報とかはまだやめておいたら。逆に何されるかわかったもんじゃないよ。こっちにも子どもいるんだからさ。様子見だな。

 

 

 

あと少しで、私はここから引越していく。でも、実際に私が見た事、聞いてしまった事については、どうしても黙っていることは出来なかった。

 

 

 

私は住宅の管理会社に連絡を入れることにした。それでダメなら市役所勤めを退職したばかりの歳上の友だちに相談してみようと思った。

 

 

 

二階から玩具を投げ散らかす子どものこと。二階から乗り出してるのを見たこと。その子が私に助けを求めてきたこと。その時の子どもとご夫婦の様子から余計な心配をしたことなんかを話した。

 

 

 

最後まで話を聞いてくれた管理会社のひとは、会社としても注意していくこと、何かあれば然るべき対応をすると言ってくれた。

 

 

 

その後引越しまでの間、私は二階から聞こえる物音に、より神経質になった。尋常じゃない子どもの泣き声とか大人の怒鳴り声や物音が聞こえたその時は、通報も考えなくてはと思っていた。

 

 

 

二階からは、それまでと同じく時々子どもの泣き声が聞こえてきた。子どもは泣くものだし、それが普通じゃないとは声だけでは何も判断出来なかった。そして、あっという間に引越しの日が近づいてきた。

 

 

 

 

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私は、ひと言の挨拶もなく引越してきたり去ってゆく人のことを、心から信用することなんて出来ないな。

 

 

 

そう思っていたけれど。

 

 


五月晴れとなったある日。私は二階の御家族には、ひと言の挨拶もせずに、仲良しの友だちに見送られながら、色んな思い出があるその家と、その街にさよならをした。

 

 

 

その後も、私の友人たちはそこの家族のことを何かと気にかけていた様だけど、特に何かが起きることはなく時は過ぎ、いつしかみんな全国にと散らばっていった。

 

 

 

 

流浪の月を読んだあと、どんな出来事も事実は当事者にしかわからないんだなって思ったけど・・・

 

 

 

もしかしたら、あの時私に助けを求めてきた男の子は、ただふざけていただけなのかもしれないよね。私が想像していたようなことは何もなくて、たぶん私の取り越し苦労だったんだよね。

 

 

 

そう思いたい。そうあってほしい。

 

 

 

それにしても、ウェステリア通りに住んでる訳でもないのに、随分と色んなことがあったなぁ。

 

 

 

デスパレートな妻たちが今も人気があるのは、平凡な暮らしをしている全ての妻たちが、(ウェステリア通りに住む妻たちに起こる事件は現実離れしすぎ!感電死とか有り得ない!)ひとには言えない秘密や悩みを大なり小なり抱えているからだろうね。共感できるところがいっぱいあるんだもの。

 

 

 

だけど、これ以上何かあったかなぁ…と考えていたら、、、もうひとつある出来事を思い出してしまったよ。

 

 

 

でも、それを書くかどうかはまだ決めてない。

 

 

 

なぜなら・・・本当のことは

 

 

 

 

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それは当事者にしかわからないからね