三日月の夜に 愛に恋

月語りと好き語りでお月愛

つきこの戯言〜あなたとは友だちにはなれなかったけど〜前編

 

 

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早朝yogaをしていたら、突然とある人のことを思い出した。どんなにyogaに集中しようとしても、その人がどんどん意識に入ってくる。忘れようとすればするほど、益々鮮明に思い出されるのだ。声とか、着ていた洋服とか、いろいろと。

 

 


それは、私の中の《記憶の部屋》の、そこそこ遠いところにおいやって、蓋をしていたのに。どうやらその記憶の蓋が何かの拍子に開いてしまったみたい。

 

 


蓋を閉めようにも、物凄い抵抗力を感じる。もう諦めよう。今日は、この記憶にどっぷりと浸かることにしよう。そして、隅々まで丁寧に思い出そう。一つ残らず。そのあとで、ぜんぶ棄ててしまおう。

 

 


今夜は下弦の月。月はこれからどんどん欠けてゆく。私の要らない感情を棄てるにはまたと無い絶好のチャンスだ。

 

 

 

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もう成人となった息子の賢人(今回の息子の名前はこれ。仮名)が、幼稚園に入って数日のこと。買い物中、私がひとりで歩いていると、すれ違い様に見知らぬ女性に突然と声をかけられた。

 

 


賢人くんのママでしょ?

 

 


びっくりした。全く知らない女性が、私の息子の名前まで知っている。誰だ、この人は。怖いな…。でも知り合いだったら失礼なことになる。

 

 


えっと。ごめんなさい。どなたか分からないのですが…

 

 


あ、同じクラスの。チューリップ組の。入園式のときから二人のこと知ってるよ。

 

 


あ…(えぇー全然知らないんですけどー。まずい。どうやって誤魔化すかな…)そうでしたか。失礼しました。あ、女の子のママでしたっけ?(一か八か女の子にかけてみた…)

 

 


そう。○○○果歩。

 

 


それが、ママ軍団のBOSS、果歩ママとの出会いだった。

 

 

 

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幼稚園って、やたらと保護者の出番があるよね。お祭りやら、バザーやら、花壇の整備やら、何やらかにやら。だけど、それは面倒な事ばかりではなくて、園に行くと子どもの様子もよくわかるし、まだ小さな子どもからは収集出来ない重要な情報を、ママ達から入手出来るという良い面もあった。

 

 


ある日の集まりのとき、やたらと大きな声で喋っているママがいることに気がついた。この前私に声をかけてきた、果歩ママだ。声だけではなく、全身ブランド品に包まれているのもとても目立っていた。その後も、果歩ママはどんどん存在感を増していった。

 

 

 

いつも、わざと皆に聞こえるような大きな声。果歩ママの周りには、取り巻きのようなママが数人、まるでコバンザメのようにくっついていたのが何だかおかしかった。

 

 

 

 

 

季節は秋に移っていた。ママたちはバザーの準備で朝早くから園に集まっていた。ひとつのクラスからは約15人くらいのママたちが出席していた。

 

 


私は常々、果歩ママとは自分からは極力関わらないようにしていた。私は声が大きいひとが苦手だったから。大きい、と言うか、わざと大きな声で話すひとが、とても苦手なのだ。

 

 


その日は、上手い具合に仲良しのママがさっさと私を見つけてくれた。お兄ちゃん同士が仲良しで知り合い、以前から親子でとても仲良くしていたママだった。そのママと私は小声でくだらない話をしながら、そのママの不器用すぎる作品を笑いながら、バサー用品を作るのに、せっせと手を動かした。

 

 


視界には入るけど少し離れたところに、果歩ママがいるのは分かっていた。皆の注目を浴びるような声で話題を振りまいていた。大きな声で笑ってる。私は聞こえないふりをして、果歩ママの話題には絶対に反応しなかった。

 

 

 

時々隣にいるママや、近くにいるママたちと小声で話したり笑いながら、とにかく黙々と作業をした。園児のママ達は、裁縫もやらなきゃならないなんてね。ほんと、ママって凄い。偉いよ!

 

 


ようやく解散する時間となった。もうお昼近くになっていた。片付けをしていたら、果歩ママに声をかけられた。

 

 


この後、ランチに行くから。来てよね。

 

 


唯一仲良くしていたママ友と二人で声をかけられた。どうやら、その日参加したクラスのママ全員とのランチのようだ。全員が行くならと思って、その日はママ友と二人で参加することにした。

 

 


園の玄関に出ると、一緒に作業をしていたママのひとりがお疲れ様〜と帰って行った。あれ?全員でランチに行くんじゃないの?何か用事があったのかな?

 

 

 

果歩ママが予約を入れたというお店は、夜は割烹料理を出すという小洒落たお店だった。お昼の数時間限定で、お手頃価格のランチを提供してるのだそう。お店についてみると、クラスの全員のママが来るのでは無いことに私は気がついた。

 

 


私は、果歩ママに聞いた。帰っちゃった人たちは何か都合が悪かったの?全員来るんじゃなかったの?

 

 


違うよ。全員なんて誘ってないよ。ここの部屋、10人しか入らないから

 

 


……。

 

 

 

玄関で別れたママは、選ばれなかったってこと?なんで?大きな声で話してたでしょ?誘われなかった人は、わかるよね。そんなんだったら、私は来なかったのに。皆が集まると思ってたから来ただけなのに。

 

 

 

そう、果歩ママに言いたかったけど、言えなかった。微妙な表情をして帰って行ったママの顔を思い出して、凄く嫌な気持ちになった。そして、小学校の頃のお誕生会のことを思い出した。

 

 

 

クラスにはいくつかの仲良しグループがあるよね。誕生日になると、仲良しの子達を家に招待するというのが慣例になっていた事があった。

 

 

 

だけど、そこには誰にも呼ばれない子がいたんだよね。それなのに、わざと大きな声を出して「○○ちゃん、お誕生会に来てね」と言うやり取りをする子が嫌だった。私は、それが嫌で自分の誕生日会のときは、こっそりと友だちを招待した。その時に感じた嫌な気持ちを思い出してしまった。まぁ、私の気にしすぎかもしれないけど。

 

 

 

そのお店は、果歩ママの行きつけらしく、ここの食事は美味しいからとべた褒めだった。でも、私はちっとも美味しいと思わなかった。

 

 

 

だいたいにして量は少なすぎるし、味も濃すぎたし。一緒に行ったママも大食いだったから、こんなんじゃお腹がいっぱいにならないと、私に耳打ちしてきた。この後、うちに来てよ。何か食べようよ、と、そのママは言った。

 

 


私はお店に入ると、果歩ママからいちばん離れた席を選んで座った。それでも果歩ママの声は私の席までしっかりと届いてきた。

 

 


○○くんのパパは何処どこの会社にお勤めなんだって。

○○ちゃんのママは、どこどこの出身なんだって。

 

 


聞きたくもないのに聞こえてきてしまう、果歩ママの話の中には、なにひとつとして私の興味を唆るものはなかったよ。だって全っ然面白くないんだもの。

 

 

 

果歩ママは、そのうち話題に尽きたのか、そこにいるママたちの体重をあてると言い始めた。誰々は○○㎏〜って具合に。最後に私のところにきて、果歩ママは大きな声で私に言った。

 

 

 

賢人ママは、4○㎏だろ。

 

 

 

違ったけど、絡まれるのが嫌だったから、そうだねと軽く返事をした。人の体重を当てて何が楽しいんだろうね。

 

 


他にも色々あったけど、この一件があって私は心に決めた。果歩ママとは、今後も仲良くしなくていい。ちゃんと距離を置いて、お付き合いしていこうって思った。そして、ランチメンバーに選ばれずに帰ったママたちのことが、その後も気になっていた。

 

 


幸いだったのは、息子と果歩ちゃんとは全然仲良くなかったこと。家も遠かったし、息子から果歩ちゃんの話題が出たことなど無かったし、遊ぶこともなかったのは本当に助かった。

 

 


子ども同士の仲が良いと、親が関わらないわけにはいかないのが、子どもが幼稚園や小学校低学年のときのママとのお付き合いの難しさだ。

 

 

 

 

どうしよぉー。いろいろ思い出してきちゃったよ。

でも今夜は・・

 

 

 

 

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桜子最高!『わたしは悪くなーい』