三日月の夜に 愛に恋

月語りと好き語りでお月愛

つきこの戯言〜あなたとは友だちにはなれなかったけど〜後編

 

 

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どうして、会いたくない人に限って会ってしまったり、嫌だなと思うとその通りになるのでしょうか。

 

 

 

友だちになれなかった 果歩ママとは

 

 

 

朝、幼稚園に息子を送ると、結構な確率で果歩ママに遭遇した。何という御縁なのでしょう。子ども同士の御縁でしょうか、はたまた私たち親同士の御縁なのでしょうか…苦笑 

 

 

 

私は、その後も果歩ママには何度かランチに誘われた。一度だけどうしても断れず行った事があったけど、やっぱり全然楽しくなかった。これはお金と時間の無駄だと思った私は、それからは色んな口実を付けて誘いを断り続けることになった。

 

 

 

・出かける用事があるから
・お兄ちゃんの学校の役員の仕事があるから
・ダイエット中だから←これを言うと、余計に絡まれるので、○○○のLIVEに行くからダイエットしてると答えるようにした。

 

 


流石の果歩ママも、これだけ何度も断られたら、もう誘ってくることは無いだろうと思っていたら、今度は夜の飲み会に誘われた。何でだよ〜。

 

 

 

誘ってくれたのは嬉しいけれど、夫が不在がちで、子どもを預ける人がいないことを理由に丁寧に断った。そうすると、果歩ママはこう言った。

 

 

 

わかった。でも、今回誘ったことは誰にも言わないで欲しい。

 

 


その言葉の意味はわからなかったけど、そのことを誰かに言う必要も機会もないまま、息子は小学生になった。そして、息子は果歩ちゃんとまたしても同じクラスになった。

 

 

 

同じクラスだから何か行事があると、必然的に果歩ママと顔を合わせることになる。参観日なんか会釈だけでいいのに、果歩ママは私の顔を見ると何かしら絡んできた。

 

 

 

内心面倒くさいなーと思いながらも、私はその度にボケたり突っ込んだりして、笑いに変えて果歩ママをかわしていた。『これ以上は入ってこないでください』バリアを張りながら。

 

 

 

何となく分かってたけどね。彼女は、ほんとは私と仲良くしたかったってことを。でも、そうならないようにしていた私の方が、実は底意地が悪かったのかも。

 

 


でも、どうしても忘れられないことがある。

運動会の、あのときの果歩ママの言葉が…。

 

 

 

運動会の最後の種目は男女混合リレー。私が子ども時代のリレーは、足の速い子達の選抜メンバーだったけど、今の子どもたちは、みんなで仲良く平等に走りましょ、というリレーだ。男の子と女の子が交互にバトンを渡して走るリレーだ。

 

 

 

リレーは運動会の一番の見せ場で最高の盛り上がり所。見ている親も、それはそれは応援に力が入るってもの。親は自分の子どもを応援する絶好の場所を探して動き出していた。

 

 


私は、賢人が次の子にバトンを渡すところがよく見える場所で、向こうから走ってくる賢人を応援することにした。子どもたちが整列し、リレーが始まるのを待っていると、隣に人の気配がした。見ると、隣には果歩ママがいた。

 

 


あ〜、賢人ママ。

 

あら、果歩ママ。


ちょっとさぁ、賢人勘弁してほしいよ。

 

は?何のこと?


うちの果歩が、賢人からバトン貰うんだけど、果歩が言うには賢人が遅いって。もっと早く走って果歩にバトン渡してくれないと、果歩が困るんだから!

 

 

 

……。

 

 


冗談のつもりかもしれないけど、あなたって、そう言うことを平気で言うんだね。本当に失礼な人だ。そうだよ、そんな人だと私はわかってた。だから、私はあなたとは仲良くしないと決めたんだ。仲良くならなくて良かった。色んなお誘いをお断りしてきて良かった。今度ばかりは本当にそう思った。

 

 


だけど、悔しかった。私のことを言われるならともかく、なんで賢人のことをボロくそ言われなくちゃならないのよ。そして、無性に腹が立った。なんでたくさんいるクラスメイトの中で、賢人がバトンを渡す相手が果歩ちゃんなんだよ!もー。

 

 


賢人ォー!

なにがなんでもいちばんになって、果歩ちゃんにバトンを渡してよー!!

大丈夫。君がちゃんと本気を出せば大丈夫だから。そして、果歩ママをギャフンと言わせてやって!!

 

 


悔しい気持ちを必死で隠して、私は果歩ママにこう言った。

 

 


…そうなんだ。

それはごめんなさい。

 

 

 

 

 ピストルが校庭に鳴り響いた。リレーが始まった。

 

 

 

 

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賢人?

 

 


勿論いちばんで、果歩ちゃんにバトンを渡したよ。賢人は、白いバトンをちゃんといちばん先に果歩ちゃんに渡すことが出来たんだ。

 

 

 

賢人グッジョブ。果歩ママの嫌味が、君にも聞こえてたのかな。それとも、ママが君を応援する声が届いてた?

 

 

 

私は周りを見回した。果歩ママがどんな顔をしてるのか見てみたかった。でも、果歩ママの姿は見つからなかった。

 

 

 

 

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夫の転勤により、私たちは関東に引っ越すことになった。引越しが近くなった参観日。私が教室に入るや否や、既に教室にいた果歩ママに、またしても声をかけられた。

 

 

 

ちょっとぉー、賢人ママ!

今日は珍しく可愛いんじゃないの。

 

 


いつもよりちょっと女らしい装いだったからか、みんなに聞こえるような大きな声で私をからかってきた。

 

 


私はすかさず返したよ。

 

 


え?   なんですって?

わたし、今日だけじゃなく

い・つ・も 可愛いですけど?

 

 


そんな返しが来たことに驚いたのか、果歩ママは珍しく返事に詰まったようだ。

 

 

 


そうか…そうだな。

そうそう、賢人ママたち引越しするんだって?

賢人ママには、ここよりそっちの方がお似合いだな。

 

 

 

色々とお世話になりました。

どうもありがとう。

 

 

 


それが、果歩ママとの最後の会話となった。

 

 

 

 

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果歩ママは、他のママよりもちょっとお姉さんだった。お金持ちの奥様だと噂されていた。お金も時間もたっぷりとかけて自分をメンテナンスして(明日はシミ取りをするの〜等、私が聞いてもいないのに教えてくれた)いつも高価なものを身につけていて、色んな意味で目立っていた。

 

 


でも、そんな事で目立つよりも、逆に若いママとは一線を引いて、物静かに品よくいたならば、もっとたくさんの人に慕われていただろうに。きっと、私も仲良くしたいと思ったよ。

 

 

 

果歩ママの取り巻きのような人達が、果歩ママが居ない時にこっそりと寄ってきて『悪い人じゃないんだけどね〜』と言うお決まりの台詞から始める噂話は、本当に嫌な気分になった。

 

 

 

そんな事を聞かされたときは、私は果歩ママのことは何も知らないから、と逃げていたけれど。それがどんな話でも、自分が実際に見聞きしたもの以外は信じないし、コメントしてはダメだと思っていた。

 

 

 

もしも、私がそこで同調するような言動をしたならば、それはあっという間に広まることは、よーくわかっていた。そして、それは往々にして、同調ではなく私が言ったこととして伝わり、広まってゆく。

 

 

 

そもそも、私が一番信用していないのは、良かれと思って〜と、本人に言わなくてもいい事を【わざわざ】おしえてくれる人たちのこと。だから迂闊に何気ない話に同調するのはとても危険なことだ。

 

 


あのとき、果歩ママがランチに誘わなかったママたちは、少し地味に見える人や、大人しい人たちだった。みんな優しくて良い人なのに。

 

 

 

私が果歩ママに選ばれたのは、大人しくはなかったことと、何でも笑いではぐらかす小憎らしいところがある私を敵に回すより仲間にしておいた方がいいと思ったんだろう。でも、人を見た目や損得で選ぶ人とは決して仲良くはならないけどね。

 

 

 

私は最後まで果歩ママとは適度な距離を保つことが出来た。そんな昔からソーシャルディスタンス!

 

 

 

あなたとは友だちにはなれなかったけど、今はもう二人ともよいお歳頃。お互い健康には気をつけて、まだまだ元気でいましょうね。

 

 

 


その頃の私を支えてくれたのは、美輪明宏氏のこの言葉。この言葉を知っていたおかけで、私は果歩ママに何を言われてもサラリと流すことが出来たし、子ども絡みの御付き合いも何気なくかわして、最後までスイスイと泳ぎきることができた。

 

 

 

 

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美輪明宏著〜愛の話 幸福の話〜人間関係の深層

 

 

 

 

これ、ホントですから。